EXHIBITIONS

加納典明 FUCK

2021.11.12 [fri] – 12.11 [sat]

YUKIKOMIZUTANI

Tenmei Kanoh 'FUCK C 001', Inkjet print , 1200×1800, 1969

YUKIKOMIZUTANIでは、11月12日(金)から12月11日(土)まで加納典明個展 “FUCK”を開催致します。1969年の夏、加納は雑誌「平凡パンチ」の依頼でNYを訪れ、そこで草間彌生によるオージーパーティを撮影しました。パーティには彼女のパフォーマー達が集められました。中にはアンディ・ウォーホルのThe Factoryのパフォーマーもいました。本展覧会では、目の前で繰り広げられたパフォーマンスを、その時代に加納が初めて作品に応用した赤外線フィルム作品とモノクロ作品に撮り出した作品群を展示致します。本展覧会と同時開催で、弥栄画廊 銀座東京ギャラリーにて加納の絵画作品を集めた「PINK DOG」が開催されます。

 

69年夏、NYでは沸々と新たなカルチャーへの熱気が漂っていました。1969年6月27日の夜、ニューヨークでストーンウォールの反乱が起こり、8月にはウッドストック音楽祭が開催され、カウンターカルチャー世代の誕生に大きく寄与する出来事が起こりました。この年、加納はニューヨークに滞在し、セントラルパーク、ウォール街、ブルックリン橋、ハーレムなどで、ゲリラ的にヌード撮影を行いました。そして、平凡パンチの編集者・石川次郎氏の紹介で草間彌生と知り合い、加納のために開かれたイーストビレッジでのパフォーマンスに招かれることとなります。そこで繰り広げられていたのは草間彌生による即興の「ハプニング」でした。加納は60年代当時のNYの自由を体現したパフォーマー達による過激なパフォーマンスに遭遇し、目の前で繰り広げられるハプニングの一部となってシャッターを切り続けました。この撮影からインスピレーションを得た加納は、友人でNY在住の写真家タッド若松氏のスタジオに草間彌生のパフォーマー達を招き、今度は人種や性別などの垣根を越えた肉体の美を撮りました。

 

FUCKシリーズは、これら二種類の作品で構成されています。本展の作品は、カラー作品においては赤外線フィルムを使用したハッキリとした色味がヌード写真を際立たせており、モノクロ作品には既存の美しさの概念を嘲るような、後に起こるgrungeの雰囲気も感じ取ることができます。加納は、グラフィックデザイナーである父を手伝う中で、Richard Avedon や Yasuhiro Wakabayashi といった著名写真家の作品に親しんでいましたが、作風については常に自身で切り開いていていきました。 加納はカウンターカルチャーに影響を受けたモチーフを撮影してきましたが、モチーフだけでなくその撮影方法も唯一無二でした。当時、加納は米国でベトナム戦争の空撮技術として開発されていた最新の赤外線フィルムを作品へと応用しました。赤外線フィルムのほとんどの可視光を遮るという特性によって、唇は黄色い色味を帯び、血管は強調され、茶色の毛髪は鮮やかな赤になり、作品に独特の雰囲気を作り出しています。実験的に赤外線フィルムを使用することで、この時代に加納は新たなヌード写真のスタイルを生み出しました。

 

本展では、目の前で繰り広げられた「ハプニング」を加納が即興的に撮り出した作品を中心に展示しております。
作品からは加納のレンズを通した、当時の異様な雰囲気の一端を感じることができます。是非この機会に、ありありとした人間の姿を撮らえた加納典明の作品をご覧下さい。

 

加納典明 Tenmei Kanoh

1942年愛知県生まれ。名古屋市立工芸高等学校産業美術科卒業後、小川藤一氏、杵島隆氏に師事。独立後はフリーの写真家としてファッション・広告業界などで活躍。64年、アサヒカメラに掲載した「テオ」を始め、「平凡パンチ」のグラビアページを主な活動の場としてヌード作品を次々発表。69年、「平凡パンチ」のニューヨーク特集の為渡米、当時のユースカルチャーを撮影。この時代を体現したパフォーマーらが集うオージー・パーティを激写したシリーズ「FUCK」により、一躍脚光を浴びる。「月刊THE TENMEI」(93~95年)は70万部の大ヒットとなり、過激なヌード表現で物議を醸す。以後、数々の重要な写真と絵画を発表、またテレビ、映画など様々な分野で活動した加納典明は、戦後日本マスメディアの変遷に大きく貢献した写真家である。日宣美賞、APA賞、朝日広告賞、毎日広告賞等、受賞多数。

 

営業時間: 火・水・木・土:12:00-18:00 金:12:00-20:00
定休日: 日・月・祝

誠に勝手ながら、11月12日は17:00で閉廊させていただきます。

'FUCK' 2021, YUKIKOMIZUTANI

'FUCK' 2021, YUKIKOMIZUTANI

'FUCK' 2021, YUKIKOMIZUTANI

'FUCK' 2021, YUKIKOMIZUTANI